奇跡事【完結】

「……何かしら」

「見てこよう」

「気を付けてね」

「ああ」

「ダメだ!お父さん一人なんて危険だよ!俺も行く」

「何言ってるの!ダメよ!」


母親がすぐに俺に言うけど、それを振り切って俺は父親の元へと向かった。
父親の後ろに立つと母親に向かって言う。


「お母さん、言ったでしょ。俺が守るって」

「……サーティス。お願い。危ない事はしないで」

「大丈夫。様子を見てくるだけだから」

「……」


泣きそうな顔で俺を見ている母親。
父親は真剣な口調で俺に尋ねる。


「……何かあったらすぐに母さんの元へ行きなさい」

「……わかった」


それに頷くと、俺達は部屋の外へと出た。
大きく揺れる船。
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