奇跡事【完結】
「いつものようにデスタンに魔法具を求めて訪れた時に、いつも対応してくれるソアレがいなくてね。
代わりにいたのがマークだったわ」
「……」
「サーティス、貴方を見て言ってたの。
凄い魔力を秘めているから、これを持ってれば大丈夫だって言ってネックレスを私にくれたわ」
「いつも身に着けていたネックレスって、そんな意味があったんだ」
母親が肌身離さず着けていたネックレス。
何か宝石がついてるわけでもなく、シンプルなチェーンのネックレス。
「どうやってそれで魔力を抑えたのか、私にはわからないけど…。
サーティスの魔力は必ず狙われるって言ってたから」
「狙われる?」
「貴重なのよ、魔力を秘めた人っていうのは」
「……」
「双子はね、底知れぬ魔力と共に産まれてくるの。
どうやら貴方は双子らしいわ。私達が見つけた時は、サーティス。貴方しかいなかったけど」
「……知ってる」
「そう」
「エレノアってヤツに連れて行かれたんだ」
「エレノア様!?」
「エレノア、様?」
ああ、そういえば。
俺が生まれたと知って、エレノア様を呼ばなきゃと言っていたか。
そんな偉いヤツなのだろうか。