奇跡事【完結】
「サーティスはきっと、双子だったから捨てられたのね」
「……」
「でも、私は感謝してるのよ。そのお陰で貴方に出会えたから」
母親はふっと優しく笑うと、俺の頭を撫でる。
「あの人も、そう思ってるわ。私達夫婦は貴方が訪れてから本当に幸せだったから」
「……お母さん」
「自分を責めてはダメよ。いい?」
「うん」
それにコクリと首を縦に動かす。
俺を見て母親は目を細めた。
「さあ、もう夜も遅いわ。寝ましょう」
「わかった。おやすみ」
「おやすみなさい」
全てを思い出した俺は、そのエレノアというヤツに会おうと思った。
そして、探すんだ。
俺の片割れを。
今も生きてるのか、わからない。
だけど、生きてる気がする。
どうしてだかはわからない。
でも、そんな気がするんだ。