奇跡事【完結】
「俺はお前と生きるつもりはない」
「どうするつもりかしら?」
「妹を探しに行く」
「……」
そう告げた瞬間、空気が変わった。
一瞬でその顔から笑みが消える。
「生きてるのかさえ、わからないのに?」
「ああ」
「そう。貴方は妹と会う事は許されないわ」
「……何だと?」
「呪いをかけたの。貴方は妹とは会えない。
そういう呪いを、ね」
「ふざけるなっ!」
「私を殺せば呪いは解けるわ。ふふ、殺したくなった?」
「ああ、今すぐにでもな!」
ギリギリと奥歯を噛み締める。
拳に力を込めたって、わかってるんだ。
今の俺じゃエレノアにまるで歯が立たないって事を。
きっと、魔力を抑えてるんだろう。
それでもわかる。
エレノアの奥底に秘めた強さが。