奇跡事【完結】
「ねえ、君の名前は?」
「……サーティス」
「!君がサーティス?」
「俺を知ってるのか?」
「知ってるっていうか、うん。名前だけね」
「エレノアに聞いたのか?」
エレノアの名前を出した瞬間、パチフィスタの顔が歪む。
余程嫌いなのだろう、嫌悪感丸出しだ。
「エレノア、はあ。聞きたくない名前」
「……お前は」
「何者だ、って?」
思ってた事を先に言われて、ドクンっと心臓が鳴る。
動揺を悟られない様に、パチフィスタから視線を逸らした。
「あー、わかった。どうしてここを通ってるか」
パチフィスタはぽんっと手を打ちつけると、納得したように何度も頷いた。
それに俺の眉間の皺が寄っていく。
訝しげな顔でパチフィスタを見れば、俺の気持ちを見透かしてかケラケラと笑った。