奇跡事【完結】



「知ってるよ。妹に会う為でしょ?」

「っ!?」


こいつは何を知ってるんだ?
知ってるのはエレノアだけじゃなかったのか?
もしかしてあの場所にいたのか?


どんどんと疑問が浮かんでくるが、それが表に出る事はない。
ただパチフィスタから視線を逸らす事が出来ずにいた。


パチフィスタは目を細めると、口を開く。


「東にいるって言われたんでしょ?そうだね。マヒアから東に来たらここ通るよね」

「……」

「納得。それじゃどうぞ、通って。もう少しで出口見えるから」

「お前は知ってるのか」

「何を?」

「……俺の妹を」

「知ってるけど知らないよ」


知ってるけど、知らない?何だそれは。
それじゃ答えになどなっていない。



< 276 / 446 >

この作品をシェア

pagetop