奇跡事【完結】
「なんか、色々腑に落ちない」
それには僕も同じ気持ちだ。
あまりにも突然だったから。
「何でマークおじさんがあの男の事知ってたのかも。
いきなり村が襲われた事も。
それに、あの幻術の様な、魔法の様な出来事も」
サーシャはすくっと立ち上がると、「それに…」と呟き俯いて腕を組む。
何とも歯切れが悪い。
「……あの男の事、知ってる気がするんだよね」
首を捻ってそう言う、サーシャに僕は目を見開いて驚きの声をあげる。
「え?知ってる?」
「それって本当か?サーシャ」
キョウの真剣な問いに、サーシャは更に首を捻る。
「でも、わかんないんだ。
この村で会った事あるなら、キョウとルーイも知ってる筈だし。
それに、私ここから出た事ない。
幼い時に会ってたから思い出せないのかな」
「幼い時、か」
確かにそれじゃ、わからないのかもしれない。
三人とも、両親がいなかった。
だけど、僕達の両親と村の人は仲良しだったらしいから。
本当に優しくしてくれたんだ。