奇跡事【完結】
エレノアに会ってから、気が張り詰めていたのかもしれない。
あの強大な力を目の当たりにして、自分の小ささをいやでも実感した。
無力だと思った。
その虚無さは父親を失った時以上で、それで気持ちが焦っていたんだろう。
あのエレノアが生かしておくわけない。
そう思ってた時、パチフィスタと出会った。
そして、生きてるって事を聞いた。
だからかもしれない。
「腹が減ってるなら食べていい」
「……い、いただきます」
「一口だけ貰おうか」
「!!うん、食べて食べて!」
俺がそう言うと、サーシャは首がもげるんじゃないかって程縦に振るとお皿を目の前に差し出した。
それから、一生懸命料理の説明を始めた。
やれどうやって作っただの、やれ材料はだの。それは事細かく。
「美味しいな」
そう告げると本当に素敵な笑顔を見せたんだ。
キラキラとした曇りのない笑顔。