奇跡事【完結】
サーシャはよく喋った。
今まで何があって、どういうモノが好きで、どうやって毎日遊んでるか。
俺は特に話す事もなかったけど、それでもサーシャの話を聞くのは楽しかった。
父親が帰宅してから、その日俺は父親の勧めもありもう一日泊まる事にした。
夜になり、二人が寝静まったのを確認すると俺は小屋を出る。
力の入らなかった体はサーシャのお陰でもう大分よくなった。
夜空には満点の星。
視界を遮るモノは何もない。
サーシャの住むここは本当に小さな村だった。
小屋が数軒集まってるだけだ。
村長の家だけ少し大きく作られていたけど、それでも俺の住んでたところよりは質素だ。
「眠れないの?」
突然、背後からそう声が聞こえて俺は振り向く。
眠そうに目を擦るサーシャがそこに立っていた。