奇跡事【完結】
「……」
「綺麗でしょ?星空」
俺の隣に立つと、サーシャが夜空を見上げた。
それに倣うように俺も顔を上げる。
「これは見事だ」
ここは空気が澄んでる。だからか。
俺が今まで見た中で一番綺麗だった。
「サーティスは何で旅してるの?」
ふいにぽつりとサーシャが呟く。
「……妹を探す為だ」
「別れちゃったの?」
「ああ、東にいるって事だけ聞いた」
「……会ってどうするの?」
「それは」
会って、どうするんだ。
ただ、一目会いたい。
その想いだけでここまで進んできたけど。
そんなの考えた事もなかった。