奇跡事【完結】
大きな手で頭を撫でられた事を思い出すと、もう会えないって事が辛くて、悲しくて胸を痛める。
「俺は、絶対にサーティスを許さない」
ぐっと拳を作ったキョウが、低い声で発した。
「もしも、サーシャの事を知ってても俺は許さない」
「……キョウ」
「……」
怒りを抑えた言い方で、そう宣言する。
それに、僕もサーシャも俯いた。
「それは私達も同じだよ。
例え知り合いだろうと、あの男は居場所を壊したんだから。
絶対に許さないよ」
「……うん、キョウ。僕もだよ」
サーシャと僕がキョウの顔を見て、そう返すと険しい顔をしたキョウの顔がやっと緩んだ。
「そうだな。ごめん」
口元に笑みを乗せると、キョウはさて、と話し始めた。
「どこに行こうか」
「そうだね、どうしようか」
路頭に迷うのは当然だ。
僕達はここ以外知らないのだから。