奇跡事【完結】
「ごめんね。これはあくまで私の意見だから。
サーティスの妹さんがそんな反応するかなんてわかんないし。
待ってるかもしれないしね」
「いや、もしかしたらその反応が普通かもしれない。
何でこんな焦ってたんだろうな」
エレノアと会ったからか。
父親を亡くしたからか。
力を取り戻したからか。
理由なんてきっといくつもあるんだろう。
きっかけは妹の存在を思い出したからだ。
会いたくてどうしようもなかったから。
「でも、サーティスがお兄ちゃんならいいな」
「何故だ」
「優しくしてくれそうじゃない?」
「……そう見えるのか?」
「うん」
「なあ」
「何?」
サーシャは髪の毛をさらりと揺らした。
その綺麗な瞳に俺が映る。
「明日、俺はここを出て行く」
「……うん」
「だけど、また会いに来てもいいか?」
「えっ」
俺の言葉にサーシャは驚いた顔を見せた。