奇跡事【完結】
トライシオンは衣服を着替えると、二人でその村を出た。
狩りをして食糧を調達しながら俺達は東へと向かった。
トライシオンに狩りの仕方を教えた俺は実践をさせる。
失敗を重ねながらも、確実に力をつけていった。
初めて仕留められた時は、嬉しそうに笑っていた。
「お兄ちゃん、やった!!」
「よくやったな、トライシオン」
「次も頑張るよ!」
「ああ」
「ねえ、そのサーシャお姉ちゃんってどんな人なの?」
「そうだな。とにかく明るい人だ」
「へえ。お兄ちゃんはお姉ちゃんを好きなの?」
「……好き?」
「うん。好き。だって、お兄ちゃんってお姉ちゃんの事話す時さ、凄い嬉しそうだから」
「……」
俺がサーシャを好き?
まだ会って間もないのに、そんな相手を好きだなんて思うのか?