奇跡事【完結】



「妹さんには会えたの?」

「会えなかった」

「そっか」


俺がそう答えると、サーシャはわかりやすいぐらいに眉を八の字にした。
悲しそうに笑っているサーシャ。

きっと、俺が妹に会いたがってたから悲しんでくれているのだろう。
サーシャは心根が優しいな。


「だけど、それでもいいと思っている」

「……そうなの?」


疑問を浮かべた顔を見せると、サーシャは少しだけ首を傾げた。
本当に分かりやすい。
どうしてって顔に書いてある。


「ああ。意地になっていたんだ」

「意地?」


意味がわからないといった風にサーシャは俺を見る。
それに俺はふ、と自嘲する。
< 302 / 446 >

この作品をシェア

pagetop