奇跡事【完結】
「こんなとこにいたんだ。サーティス」
そう後ろから声がして、俺は振り向く。
そこには優しく笑うサーシャの姿があった。
サーシャは隣に並ぶと、俺を見上げた。
「ねえ、サーティス」
「なんだ」
「おかしな事言ってもいい?」
「ああ」
「私ね、サーティスと会うの初めてじゃない気がするんだよね」
「……どういう意味だ?」
少しだけ眉を顰めた俺に、サーシャは慌てて手を振って否定する。
「あ、違うんだよ。
私は拾われてからずっとここにいたし、たまに遠出したけどその時にサーティスを見たとかじゃないんだ」
「……」
余計に意味がわからず、俺はサーシャの言葉を待った。
「どう言ったらいいかわからないんだけど。どうしてか懐かしいって思うんだよね。
サーティスが優しいからかな。雰囲気とかからかな。わからないんだけどね。
それに、サーティスを見たら絶対に覚えてるもん。凄く素敵だから」
へへっと照れ臭そうに笑ったサーシャは頭を掻くと、俯く。