奇跡事【完結】
呪
俺とトライシオンがサーシャの村に訪れてから、もうかなりの日数が経っていた。
村の人達は俺達を快く歓迎してくれ、この村にずっと住めばいいとまで言ってくれた。
すぐにそれに甘えなかったのは、母親が気がかりだったからだ。
一度、母親に会って話したい。
魔法を使って移動する事も出来たけど、サーシャの前では出来ない。
トライシオンにも、簡単な魔法しか使えないと言っていた。
一瞬で村を移動できるぐらいの魔力の使い手。
それが出来るのは一握り。
生まれつき強大な魔力を持つ、双子ぐらいだ。
その双子は忌み子だと言われていたから、その存在が公になれば匿っていたサーシャが非難されるだろう。
それだけはどうしても避けたかった。
俺の所為で、サーシャが悪く言われてしまうのは嫌だった。
エレノアや、マークみたく敬われる存在になるにはそれなりの結果が必要なのだろう。
それがない双子は、息を潜めて生活する以外方法がない。
……それが洞窟で会ったパチフィスタだったのだろう。