奇跡事【完結】

「サーティスでいっぱいにして欲しい」

「……」

「その、口付けして…欲しいかなって」

「……っ、」


恥ずかしそうに視線を伏せるサーシャの唇に荒々しく自分の唇を押し当てると、そのまま押し倒した。
月明かりに照らされ、桃色に染まる頬が映し出された。



「……サーシャ、全てを俺のモノにしていいか」


そっと、その頬に手を当てる。
サーシャは俺を見つめると、ニッコリと微笑んだ。



「うん、サーティスになら全てあげる」


その笑みにつられるように、俺も目を細める。
それからゆっくりと顔を近付けた。



その夜、俺はサーシャを更に愛しいと感じ、更に守りたいと思った。


何があっても、彼女だけは。


< 314 / 446 >

この作品をシェア

pagetop