奇跡事【完結】
休憩を入れずに歩き続け、森の中へと入る。
段々と薄暗くなり、視界が悪くなってきたから落ちてる枝を手に取ると火を灯した。
また足を踏み出した時。
突然、禍々しい空気が辺りに漂い始めた。
ハッとしてその出所を探す。
まさか、この禍々しい空気は。
嫌な気配を感じながら辺りを探すと、より一層淀んだ場所があり、案の定そこにはエレノアが立っていた。
エレノアは俺を見ると、ニヤリと笑う。
「……不思議なモノね」
「何が、だ」
その魔力は酷く不気味だ。
以前会った時よりも、冷たく、強大で、ひたひたとそれが俺に纏わりつく。
ゾクリと背中が粟立った。
エレノアはククっと、その紅い口元を歪ますと続けた。