奇跡事【完結】
「引き離した筈なのに、お互いを兄妹と認識せずに惹かれあうのよ。
皮肉だと思わないかしら?」
「……何の事を言っている?」
「憎いわ。貴方も、あの娘も。そうね、ただ殺すだけじゃぬるいわ。
だから、苦しんで貰わないと。あの娘にも、貴方にも」
「意味がわからない。あの娘ってのはサーシャなのか」
「そうよ。貴方と血の繋がった妹。双子の、ね。
兄妹と知っていたらきっと、出会う事はなかったのよ。
そして、こんな悲劇を迎える事もなかったの」
「……サーシャ、が妹…?」
ふるふると小刻みに手が震え、持っていた木の枝が地面へと落ちた。
俺はガクっと膝から崩れ落ちると、ゆらゆらと燃えるその枝の先を見つめた。
信じられない。サーシャが妹だなんて。
どうして、どうしてだ。
“私ね、捨てられてたんだ”
ああ、そうだ。
サーシャは捨てられたと言っていた。