奇跡事【完結】
「うっわ!冷たっ」
「ちょっと、サーシャ!」
「知らないもんね!えいっ」
そう言うと、更に水をかけて来るサーシャ。
その顔は、とっても楽しそうで意地悪い。
「やったな!」
サーシャの隣にいたキョウは一番の被害者だ。
濡れた髪の毛を揺らしながら、両手で掬ってサーシャに水をかける。
「うわっ、キョウ!」
サーシャの顔面にあたったその水は、髪の毛をも濡らして頬を滑り落ちていく。
ぴったりと顔に張り付いた髪の毛を手櫛で整えながら、サーシャは目を吊り上げた。
そんなサーシャの姿を見て、吹き出したキョウ。
「あははっ」
「キョウ!」
「あははは」
「ルーイまで!……ぷっ、あははは」
仕舞いには、サーシャまで耐え切れなくて吹き出す始末。
暫く僕達はびしょ濡れで、笑い転げていた。