奇跡事【完結】
「僕はね、エレノアが嫌いなんだ」
パチフィスタは淡々と呟く。
薄らと笑っているが、その顔は酷く恐ろしい。
何があったのかはわからない。
知りたいとも思わない。大体想像がつく。
「それでも、エレノアを殺す事とかは出来ないんだよね。
やっぱり強いから。彼女。
だから、サーティス。強くなりなよ」
「……」
パチフィスタはじっと俺を見つめる。
俺が強く…?
すぐに言葉が出て来ない。
「エレノアは君を気に入っている。いや、執着していると言った方がいいのかな。
だから、きっとこれからも邪魔をしに来る。
君がエレノアのモノにならない限り」
「……」
エレノアのモノになんかならない。絶対。
それならエレノアは俺が幸せに生きるなんて許さないだろう。