奇跡事【完結】
「それに、エレノアを殺せば君の呪いも解けるよ」
「……呪い」
「君からエレノアの匂いが微かにする。きっと、何か呪いをかけたんだ」
「……」
妹と会えない呪い。
それの所為か。
「僕は君がどうなろうと、正直どうでもいい。だけど、エレノアが最後に笑うのだけは嫌なんだ」
「そんなの、俺に関係ないだろ」
「そう?エレノアはサーシャと君を引き離した張本人なのに?」
「っ、それは……」
「エレノアを生かしておいて、後悔するのはサーティス。君だと思う」
「……」
「何かあっても僕は助けないから」
きっと、これ以上パチフィスタには言えないのだろう。
パチフィスタなりの優しさなんだと思う。
それでも、エレノアを殺したりなんて出来ない。
サーシャはエレノアを崇めているんだ。
出来るわけがない。
何も言わない俺に、パチフィスタは肩を竦める。