奇跡事【完結】
「……」
「相手が欲しい時はいつでも来なよ。僕はここにいる」
「……パチフィスタ」
「あ、お礼とか要らない。
そんなの要らないから、エレノアを殺してよ」
「……」
「僕はそれで満足」
「……感謝する」
「いいって言ってるのに」
口を尖らせながらパチフィスタは眉根を寄せる。
それから前に座っていた天井近くの岩に移動すると、
「早く行ってやりなよ」
そう言って手でしっしっとした。
「また来る、パチフィスタ」
「はいは~い」
ニヤリと笑ってパチフィスタはその場から消え去った。
シンっと静まり返る洞窟内。
……早く、サーシャに会いたい。
どれだけ会っていないのだろうか。
母親の村と往復する以上に洞窟に滞在してしまったから、きっとサーシャの事だ。心配してるに違いない。