奇跡事【完結】
「っ、サーティス、会いた、かった」
「……俺も」
サーシャの髪の毛に指を通すと滑らす。
妹とわかった今でも、好きだと思った。
全身からその気持ちが溢れ出して、抑える事なんて出来ない。
サーシャの頬に顎を当て、そっと上を向かせる。
潤んだ瞳。
顔を近付けると、サーシャはゆっくりと目を閉じた。
角度を変えて、何度も唇を重ね合わせた。
この、胸の痛みをサーシャは知らなくていい。
俺だけが知ってればいい。
罪悪感なんて持つ必要はない。
禁忌を犯してしまった事で罰を受けるなら、俺だけが受けるから。
サーシャは何も知らなかったんだ。