奇跡事【完結】
「クサイチゴでカゴ、いっぱいになっちゃった!」
「だって、美味しいんだもん」
「でも、他の山菜入れられなくなっちゃう」
「俺が他のカゴ取ってこよう」
「いいの?」
「ああ、少し待っててくれ」
「ありがとう、よろしくっ」
二人から離れて、俺は家へと向かう。
カゴ、どこにあったか。
聞いておけばよかったな。
そんな事を考えてた時、感じた事のある禍々しい魔力が漂っていた。
……この、魔力は。
嫌な予感がして、俺は村へと走った。
ドクドクと鼓動が速まる。
はあっと息を切らし、到着した俺は目を見張った。
そこで見た光景。
それはまさしく、地獄絵図だった。
村人が無惨にも殺されていた。
皆殺し。その言葉があてはまるだろう。
誰一人として息をしていない。
生あるモノは全て命を落としていた。
一人残らず。赤子さえも残酷に。
そして、その中央に立っていたのは。
――――――――エレノアだった。