奇跡事【完結】


「サーシャ!?」

「っ、大好き、だったのに!」

「やめろっ」

「本当に、大好きでっ」


涙をぼろぼろと流しながら、俺の体へその剣を食い込ませようとする。
だけど、寸前で腕を掴み阻止すると剣を離そうと力を込めた。


「サーティス、貴方を愛してた!」

「っ、」

「だからこそ、許せない!!う、うあああああっ」

「やめろ!!サーシャ!!」


弾こうとサーシャの腕を捻り交わそうとするが、ぐらりとサーシャが体勢を崩す。
それを支えようと、剣を持った腕を咄嗟にサーシャへと伸ばしてしまった。


そしてその剣がグサリと食い込む。
―――――――サーシャの体に。


「うっ、く、」

「サーシャ!?」


すぐに剣を引き抜こうとするが、何故か抜けない。
力を込めているのに。


俺はその剣に魔力が込められている事にやっと気付いた。


気が動転していて、気付けなかった。
これはエレノアの計画なのだと。


魔法を使って治癒しようとするが、全てその剣に呑み込まれていく。
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