奇跡事【完結】

「サーティス。貴方がサーシャを殺すって呪いよ」


そう告げられても、咄嗟に理解なんて出来なかった。
俺が、サーシャを、殺す?


呪い、だと?


サーシャの服をぎゅうっと掴み、言われた言葉をゆっくりと噛み砕いていく。


そしてハッとした。
きっと、呪いをかけられたのはあの時だ。
眠りの粉で俺を眠らせた時。


あの時の俺はサーシャが妹と知って、頭が混乱していた。
だから、簡単にエレノアの手に落ちたんだ。

……もしも、俺がもっと早く気付いていたら。

こんな事にはならなかったのか?



「貴方はサーシャに出会う度に、サーシャを殺してしまうのよ」

「……」

「愛しくて堪らないその人物を、己の手で殺す苦しみはどれほど辛いかしら」

「何で、そんな、呪い」

「貴方が私のモノにならないからよ」


さも当然かの如く言い放つ。
エレノアは本気で言ってるんだ。

冗談などではなく、本気で。


きっと、この呪いは解けないのだろう。
エレノアを殺さない限り。
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