奇跡事【完結】
「俺は人を殺めるつもりはない。この力をそんな事に使いたくはない」
「……立派なモンだな」
「そんな事はない。それによって落としてしまった命もあった。
サーティスの父親の様にな」
「……」
「使い方を誤まれば、この力は凶器になる。
だけど、使い方が正しければこの力は強力な武器になる。
サーティス。凶器にするな」
「……そんなの、俺の勝手だ。
説教する気ならお前に用はない」
「待て、サーティス!」
止めようとするマークの声を振り切り、俺は瞬間移動をした。
行く場所はどこだってよかった。
一人になれる場所なら。
もう誰かと話す気にもなれなかった。
闇に堕ちるな、だって?
笑わせるな。
俺はこの手でサーシャを殺したんだ。
あの守りたかった笑顔を、俺自身が奪ったんだ。