奇跡事【完結】


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あれからどれだけの時が経ったのだろうか。
一人になる為に、俺は人がいない森の中に家を建てて住んでいた。


不老不死。
それは本当の様で、川に映る俺の姿はあの時の俺と何も変わらない。


皺一つだって増えない。
老いを感じない事がこれほど怖いとは思わなかった。



「……」


するりと自分の頬を撫でる。
傷を付けても、いくら付けても、それは跡形もなく消え去ってしまう。


どんなに憎くて、自分を殺したくて、何度も傷を付けてもそれは一瞬で消えてしまう。
サーシャとの色褪せない記憶が、また俺を苦しめた。



「やっと見つけた」


突如、そんな声がしてハッとした俺は振り返る。
そこに立っていたのは。


「……パチフィスタ」


不敵に微笑んでいるパチフィスタだった。
相変わらず、その顔からは何を考えてるのか窺えない。
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