奇跡事【完結】
「知ってる?エレノア、あれからマヒアの近くに神殿を造ったんだよ」
「神殿だと?」
「そう。周りには自然で溢れていて、更にエレノアの恵みだと崇められてるよ」
「……」
「そして、そこの神殿に入り浸る女の子一人」
「女?」
それにピクリと反応した。
俺の様子を見て、パチフィスタはニヤリと口角を上げた。
「名前はサーシャ」
「サーシャ…、だと?」
俺はパチフィスタに詰め寄り、肩を力任せに掴む。
サーシャが生きているのか?
どういう事だ。
肩を掴まれているのに、パチフィスタは顔を歪めることなく、寧ろ薄らと笑みさえ浮かべていた。
「生まれ変わりって知ってる?」
「……」
「腕利きの付き人がいたよね。エレノアには。
その人とよく話しているらしいよ」
エレノアとよく一緒にいると言えば、ズマーニャの事だろうか。
あの時と変わっていないのなら。