奇跡事【完結】
「会いに行く?」
「……行く」
「そう言うと思った」
「いつ、生まれたんだ」
「いつって?」
「サーシャだ」
「……そんなの、僕にもわかんないよ」
サーシャが死んで、すぐに生まれ変わったのだろうか。
それならば俺はまたサーシャを殺してしまうのか。
“貴方はサーシャに出会う度に、サーシャを殺してしまうのよ”
出会う度に。
その意味は、こういう事なのか。
サーシャに会わない方がいいのか。
でも、エレノアと会っていい方向に進むわけがない。
「どうする?」
「……気持ちは変わらない」
俺はサーシャに会いに行く。
何度でも。
もう、この手にかける事はない。
俺は呪いを知っている。
この憎き呪いを。
「わかった。じゃあ、行こうか」
パチフィスタと共に俺はマヒアへと向かう。
目指すはエレノアの神殿だ。
一瞬で移動した俺とパチフィスタ。
初めて見た神殿は想像以上に大きく、天に向かってそびえ立っていた。