奇跡事【完結】
堕
目覚めたのは人の気配がしたからだった。
ピシィっと張り詰めた空気。
俺は気配だけ感じ取ると、じっと息を潜めた。
……誰だ。
相手は強い。動いたら一触即発になるだろう。
どうして俺を狙う?
何の為に?
その理由がわからない。
すうっとその気配が消え、張り詰めていた空気も消えた。
俺はゆっくり起き上がると、辺りを見渡し外へと出た。
だけど、もう人の気配はない。
……相手は魔法を使えるのか?
その翌日も寝ているとその気配を感じた。
すぐに目を覚ました俺は再度息を潜める。
殺気だったそいつは俺に詰め寄ると、剣を振りかざした。
それを近くに置いていた剣で受け止め、顔を見ようとしたがローブのようなもので覆っていてこの暗がりでは誰だかわからない。
剣を受け止められると、すぐにそいつは消えた。