奇跡事【完結】
「エレノア様から命令が下ってな。お前を殺せと」
「何?」
「だから、また命を狙いに来る。その時は俺を殺す覚悟で来い」
それだけ告げると、ズマーニャはすうっと姿を消した。
この魔法はエレノアがかけていたのか。
どうして、エレノアは俺の命を狙っているんだ?
俺は不老不死だ。俺を殺すにはエレノアを殺さないと意味がない。
その理由なんてさっぱりわからなかった。
だから、俺は翌日ズマーニャが来るのを暗闇の中じっと待った。
夜も更けた頃、ズマーニャは現れた。
向かい合う二人。
先に口を開いたのは俺だった。
「俺を殺す事は出来ない」
「ふん。知るか。でも、お前を苦しめる事は出来る」
「……どういう意味だ?」
「お前の母親はまだ生きてるみたいだな」
「はは、おや?」
「サーティス。お前は強い。だから、殺すのは容易じゃない。
だけど、お前の母親ならどうだ?」
「っ!!貴様!」
そう言うと、不気味に微笑んだズマーニャが姿を消した。
サーっと背筋に冷たいモノが走った。