奇跡事【完結】
「……サーティス」
「パチフィスタか」
すっかり変わってしまった俺を見て、パチフィスタは悲しそうな顔を見せた。
何故、お前がそんな悲しそうな顔をするんだ。
「……僕には何も出来ないのかな」
「手助けなど要らない」
「それでも、エレノアを殺す為に何か出来るかもしれないよ」
「……もういいんだ」
「知ってる?今、魔物が暴れ出しているって事」
「……」
魔物、か。
そういえばトライシオンもそんな事を言っていた。
いつの話だったか。
「それの討伐にマークとエレノアが向かうみたい」
「へえ」
「それと、ルイードっていう魔導士」
「……ルイード?初耳だ」
「僕もだよ。強いのかな」
「……興味がない」
「僕はその戦いが終わるまで、どっかに隠れてるよ。サーティスも来る?」
「……いや、いい」
俺は断ると、パチフィスタの前から消えた。
どこに行くかも告げずに。