奇跡事【完結】
「サーシャを、頼むね。パチフィスタ。カタラ」
「……ルーイ」
「行って来るよ」
向かうはエレノアの元。
僕は魔法を使ってあの神殿に移動する。
入口の前に立つと、天に向かってそびえ立つその神殿を見上げた。
これで、決着するのだろうか。
エレノアを殺して、全て終わるのだろうか。
キョウはまた笑ってくれるのだろうか。
「……」
目を閉じて、サーシャとキョウの笑顔を思い出す。
ぐっと拳を作った僕はキッと神殿を睨みつけた。
その奥にいるエレノアを睨みつけるように。
中へと足を踏み入れる。やっぱりシンッと静まり返っていて不気味だ。
僕の足音だけが響いていた。
以前来た時は気付かなかった。
エレノアの魔力はこんなにも、…こんなにも禍々しかったのか。
力を手にした今だからわかる。
エレノアの力は強大だった。