奇跡事【完結】
「貴方は私と血が繋がっているのよ」
「……な、」
僕が、エレノアと?
その時、ぶわあっと今までの記憶が呼び起こされる。
“それに、なんだろう。そこの君と、君はエレノアの匂いがする”
“君達からはデシーヴの匂いもするよ?”
“デシーヴがかつて愛した女の事を”
パチンパチンっと欠けていたピースがハマったような気がした。
ずっとエレノアの声が聞こえていたのも、そして、何故マークおじさんが僕達を匿っていたのかも。
全ては僕が、エレノアの子供だから。
そして、父親はマークおじさんなんだ。
「たったの一度よ。私が赦したのは。マークはわかっていたの。全てね。
サーティスの事も。そして、私が妊娠していた事も。
その上でマークは私を愛していたの」
「……」
「でも、最後にやられたわ。マークは私の赤ちゃんを連れ去ったのよ。
双子の、赤ちゃんをね」
「……」
「ふふ。本当にルーイは聡い子ね。どうしてキョウは似なかったのかしら。
私の血を強く引き継いでいるのかしら。だから、あんな女に惹かれるのね」
「……キョウと、僕が兄弟なんて信じられない」
「信じるとかどうでもいいの。これが事実だから」
「何故、声は僕にしか聞こえなかったんだ」
「そんなの、決まってるじゃない」