奇跡事【完結】


ぐちゃりと心の臓を握り潰した私は。


ゆらりと目の前にいるその女の元へと向かう。
そして、ゆっくりと手を掲げると怯えるその女の体を一思いに貫いた。


ぴしゃりと、飛び散る血を舌で舐める。
口の中に広がる、不味い鉄の味。


ツンと鼻につく、嫌な香り。



「……あはは」



こんな世界なんて、壊してしまえ。

狂ってしまえ。


双子?
殺して、しまえ。



憎んでしまえ。
憎みあえば、いい。


どうせなら、殺し合うのも、いいかもね。



どうすれば、幸せになれる?
どうしたら?

どうしたってなれないのなら。



私が幸せを壊してあげる。



―――――――憎んで憎んだ、軌跡だった。

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