奇跡事【完結】
「まさか、サーシャまで匿っているとは思わなかったが、な」
「……」
「それでも、探す手間が省けた。俺はお前達に、そしてサーシャを探していた」
「サーシャを殺す、為にか?」
「ああ。殺して、殺される為に」
「俺達が、俺達がエレノアを殺せると思ったなら!
サーシャを殺す必要なんかなかったじゃないか!!」
キョウがサーティスの胸倉を掴むと、そう叫んだ。
それに、サーティスはふっと笑った。
「……殺せたか?お前に」
「……」
冷たい瞳で見下ろされ、キョウは言葉を詰まらせた。
マークおじさんに守られていた僕とキョウが、人を殺せるわけがない。
強い復讐心が生まれない限りは。
その相手が、マークおじさんとサーシャだったんだ。
「その手で、俺を殺すんだ。今すぐに」
「……」
「お前の、殺したかった相手だろ?」
「……ぐっ、」
サーティスは手に持っていた剣をキョウに握らせる。
そして、しっかりと剣先を自分へと向けさせた。