奇跡事【完結】
「サーシャを愛しているんだろう」
「……」
「なら、敵を討て」
「……っ、うあああああ!!」
キョウは叫ぶと、サーティスの体に剣を突き刺した。
貫通した剣先は血で真っ赤に染まっている。
そこから、ぽたぽたと鮮やかな血液が滴り落ちていた。
ツーっとサーティスの口からも血が伝う。
血を拭うことなく、サーティスは口元に弧を描いた。
「それで、いい」
「っ、……」
「死に場所は自分で選ばせて貰う。
……それじゃあな」
サーティスはふっと笑うと、一瞬で姿を消した。
どこに行ったのかはわからない。
だけど、きっとサーシャとの思い出の場所なのだろう。