奇跡事【完結】
「知ってたか。ルーイ。俺はお前にも醜く嫉妬していたんだ」
「嫉妬?」
「サーシャと話す全ての男が憎く感じていたんだよ。
それは今も変わらない。寧ろ、魔力を解放してから余計にそう感じているんだ」
「……」
「俺は、いつか……ルーイ。お前を殺してしまいそうで怖い」
「……キョウ」
キョウは顔を歪めると、眉根を寄せ苦しそうに呟く。
「ルーイ、俺はお前だけは救いたい。だから、一緒には行かない」
「……それは、もう絶対なの?」
きっと、僕の眉は情けなく下がっている筈だ。
泣きそうになりながらキョウを見据える。
同じようにキョウも僕から視線をそらさずに、悲しそうに笑った。