奇跡事【完結】
「エレノアは死んだのか。それなら、きっとサーティスもキョウの手に堕ちたのか」
「そうだろうね。まあ、詳しい事は後で聞くよ。
とりあえず、僕はエレノアを運ぼうかな」
「どこにだ?」
「エレノアの故郷」
「……故郷?」
口には出さないが、僕もカタラと同じ疑問を持った。
エレノアの故郷ってどこの事を言っているんだろう。
「エレノアが産まれた場所。僕が君達と、カノに扮していたエレノアを連れて行った場所だよ」
確かに何もない森の中に連れて行かれたけど、あそこが故郷だって言うのか?
村があった形跡すらなかった。
「エレノアが全て消し去ってしまったからね。
思い出したくもない過去だったんだよ。彼女にとったら」
「……お前達の様な双子に起こった事は大体想像出来るからな」
「でしょ?何があったのか。僕は詳しく知らない。それでも、ここであった事だけは知ってる。
デシーヴがカレノアの墓参りに来ていたから」
「カレノア…、エレノアの妹と言っていたか」
「うん。デシーヴもどこまで知ってたのか、僕にはわからない。少なくとも僕よりは知ってた筈だよ」
「……」