奇跡事【完結】
―――聡い子。
……それなら僕の方に魔物が封印されていればいいのに。
苦しむ?いや、それは違う。
そうしたらキョウは苦しまなくて済む。そう思うんだ。
だって、寿命を全う出来るじゃないか。
魔力を持った双子がどれだけ生きるのか、それはわからない。
それでも、ルイードが封印されているのなら。
最期を迎えても大丈夫じゃないか。
「どうした?ルーイ」
考え込む僕の顔を覗き込んだのはカタラだった。
我に返った僕は慌てて首を振った。
「ううん、なんでもない」
「とにかく、もう悲劇は起こらない筈だよ。これだけは言えるよね」
「……そうだといいな」
パチフィスタがそう言うのに、僕は声を小さくする。
「そんな不安そうな顔をするな、ルーイ」
ははははっと笑いながら、カタラは僕の髪の毛をぐしゃぐしゃに掻きまわした。
僕は乱された髪の毛を整えると、カタラを恨めしそうに見上げる。
そんな僕にまたカタラは笑っていた。