奇跡事【完結】
過
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「元気?」
ひらひらと手を振りながら、僕の前に姿を見せたのはパチフィスタだった。
「元気だよ」
「そう。ならいいんだけど。ねえ、最近見つけたんだ。これ」
そうして僕に見た事もない食べ物を差し出した。
エレノアの恵み。
今も変わらずそう伝えられていた。
だけど、人々は自分で育てる術を覚え、そして生み出す事を覚えた。
段々とエレノアの恵み、いや、僕の力は必要なくなって行く。
それは悲しい事なんかじゃない。決して。
「ねえ、そろそろいいんじゃない?」
パチフィスタは肘掛けに座ると、顔を俯かせたままぽつりと呟いた。
僕はわかっていながら、「何が?」とわかっていないフリをする。
それに肩を竦めるパチフィスタ。
「ルーイが全て背負わなくてもよかったんだよ。
僕に言ってくれても良かったのに」
「……」
僕は何も答えない代わりに微笑んだ。
いいんだ。パチフィスタはどうして僕がここに留まったか、わかってる筈だから。