奇跡事【完結】
「そしてね、その戦いでルイードは命を落としかけた。だけど、魔物も瀕死状態だった。
治癒魔法でも手の施しようがなかった二人は、エレノアのお腹に授かっていた命にルイードと魔物を封印したんだ」
「……だから、エレノアが僕達を産んだ時期がおかしかったのか」
「そうなるね。もしかしたらエレノアは、一生お腹の中で育てるつもりだったのかもしれない。
どうして出産したかは俺も謎なんだ」
「……そんなの、マークおじさんが言ったんだよ」
「おじさんが?」
「子供の顔が見たい、って」
「……」
「マークおじさんはわかってたと思うんだ。エレノアが一人で全てを背負いこむ事を」
「……そっか」
そして、産まれた我が子を連れ去り結界を張った。
キョウが幼い時にエレノアと会ったのは、子供の顔を見たかったから。
「ルイードはパチフィスタに伝えるつもりはないみたいだよ。
俺も言う気はない」
「……そうだね。知らない方がいいことだってあるよ」
「ねえ、ルーイ」
「何?」
「俺はルーイをこの命を換えても守るよ。
魔物を、もう二度とこの世に放たない為にも」
「……僕は死なないよ」
「そうだね。1からケーラを作ろうか」
「もう嫉妬はしないの?」
それにキョウは目を真ん丸にしてから吹き出した。