奇跡事【完結】


「で?何を聞きに来たの?デシーヴの事?」

「マークおじさんを知ってるの!?」


サーシャがそう尋ねる。僕とキョウは顔を見合わせた。
それに、パチフィスタはゆっくり口角を上げる。



「知ってるよ?言うならば、結界が解かれた事や、エレノアの事も」


僕はゴクリと生唾を飲み込んだ。
一気に空気がピンっと張り詰める。


さっきまでのおちゃらけた雰囲気はそこにない。
僕達、三人は拳を握りしめるだけで言葉を発する事が出来なかった。


そんな僕達を一瞥してからカタラはふうっと息をつき、口を開く。



「知ってるなら話が早い。彼らはそのケーラ村の生き残りだ。
エレノアに会いたいらしい。お前なら神殿に入れるだろう」

「うん、僕なら入れるだろうね」

「それなら一緒に付いて来てくれないか?」

「えー。めんどくさい」

「……パチフィスタ」

「それにさ」


そこで区切ると、パチフィスタは僕ら三人を一人ずつ見る。
そして、またニヤリと笑って続けた。


「三人なら中に入れると思うよ?」


そのパチフィスタの言葉に、僕達だけじゃない。
カタラも驚いたようだ。
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