奇跡事【完結】


「どういう事だ?」

「そのまんま。デシーヴってやっぱ凄いね。
その魔法具は最大限に魔力を呼び起こしてくれる存在だ」

「……!」


カタラはハッとすると、僕達の目の前にやって来る。
そして、言った。


「マークから渡された短剣を出すんだ」

「え?」



マークおじさんから渡された短剣?
三人は顔を見合わせてから、各々その剣を取り出す。


マークおじさんが力を込めたとされる、紋章の入ったそれ。


パチフィスタは相変わらず、目を細めて微笑んでいるだけ。



「……なあ、例えこれがあろうとも中に入るにはそもそもの魔力がなければ無理だろう?」


カタラは短剣を見つめたまま、独白するようにパチフィスタに尋ねた。


「そうだね」

「こいつらにそれだけの魔力があると?」

「だから、隠していたとも考えられない?」

「っ!」


それには僕達も息を呑んだ。
なぜ、ケーラ村に結界が張られていたのか。


僕達に外の世界の事を知らせたくなかったから。
そう、考えていた。


でも、実は僕達を隠していた?
マークおじさんが?
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