奇跡事【完結】
「僕の勘違いだった。知り合いだと思ったんだけど、その子サーシャじゃなくてサーニャだった」
パチフィスタは首を傾げながら、舌を出してへへっておどけた。
はああっと僕達は安堵の息を吐く。
「お前は、本当に紛らわしい」
「ごめんって。そりゃ何百年も生きてたら忘れるよ~」
ははって笑った彼だったけど。
……僕は見逃さなかった。
じっとサーシャを見つめる、彼の事を。
「ルーイ、これ美味しいね」
「っ、うん、でしょ?」
サーシャに話しかけられて、ハッとすると僕は慌てて笑顔を作った。
サーシャは僕のサンドウィッチを一緒に頬張っている。
それから、僕達はサンドウィッチを完食すると明日に備えてベッドに横になった。
「灯り消すよ~」
返事をする前に、パチンと灯りが一瞬にして消えた。
目を閉じて身体を休めようと思うけど、瞼の裏に浮かんでくる光景。