奇跡事【完結】
耳元で囁かれた様な気がして、パチッと目を開ける。
すぐに起き上がり、キョロキョロと辺りを見渡すがもちろん誰もいない。
横にはサーシャとキョウの寝顔があって、ホッと胸を撫で下ろす。
その時、鋭い視線を感じてバッとそっちを振り向く。
視線がかち合って、心臓がドクリと大きく跳ねる。
暗闇の中で僕を見ていたのは、ゆるりと微笑むパチフィスタだった。
ベッドに座ったまま、頬杖をつくと僕の事をただ見つめていた。
「眠れないの?」
パチフィスタがゆっくりと口を開く。
ゴクリと生唾を飲み込み、渇いた喉をどうにか潤す。
「……パチフィスタは、敵なの?」
「ん?僕はどっちでもないよ。面白そうな方に加担するだけ」
「……」
「今は君達の方が面白そうだから。だから、がっかりさせないでね?」
更に口角を上げて微笑むと、パチフィスタはゆっくりと闇夜に消えて行った。
どこに行ったのか、それはわからない。
パチフィスタがいなくなって、やっと僕ははあっと息をついた。
変に汗を掻いていて、気持ち悪い。