夏とおじさんとアイスクリーム
おじさんは、僕にちょっと待ってろと言うと、店に入って行き戻って来た。
手を広げるとアイスクリームのカップが乗っていた。
カップの蓋を見ると子供の頃の丸顔の僕とおじさんの顔がデザイン描かれていた。
良く見ると下の方に分からないように小指も描かれたちょっとオシャレなデザインのアイスクリームの容器になっていた。
「これは、まぁいいんじゃない。
ところで悩んでた金額は、いくらにしたの?」
「これ一つが二千二百円だよ。」
「え~いくら何でも高くない?」
「馬鹿、お前なあ俺の指からそんなに沢山出来ないし色々考えたらこれくらいにしないと儲からないし赤字になるんだよ。
俺は、ここを買い取ったローンもまだあるし改装費用のローンも残ってるからな。
時間は、かかってもあれだけ美味しくて健康にも良ければ必ず売れるって由美ちゃんも言ってるよ。」
確かにおじさんのアイスのお陰か僕は、子供の時から時々食べていただけだが風邪一つひかなかったし、身長も今では、クラスで一番高く運動は、凄く得意だった。
今では、パパやおじさんよりも背も高く腕相撲をしてもよほどの強い大人じゃない限り負けなかった。
中学では、柔道をやっていたが去年の全国大会は、三位に入っていて強豪高校からの誘いが沢山きていた。
両親とも運動は、苦手では、なかったがまさかここまでになるとは、思ってなかったようだった。
アイスクリーム効果は、あるだろうと思った。
両親や祖父母は、僕に期待していた。
まさかアイスクリーム効果があるとは、夢にも思ってないはずだった。