夏とおじさんとアイスクリーム


アイスクリームの味だった。



僕は、何度も繰り返して吸った。



間違いなくバニラアイスの味がした。



何てこった!!小指からアイスクリームが出てる。



僕は、呆然と座り込んだ。



指先に何やら感触を感じてハッと我に変えるとキイチが僕の小指を吸っていた。


僕は、キイチの口から慌て指を抜きながら言った。



「駄目でしょ!汚いよ!」



キイチは、笑いながら答えた。



「おいちゃんアイスの味がするよ。」



キイチは、指から出る甘い匂いを嗅ぎ分けたのか本能的に僕の小指を吸っていたみたいだった。



恐るべしキイチのアイス探知能力と僕は、思いながらもこれからどうするか途方に暮れた。



考えながらいつの間にか指を吸っていた。



やはり、バニラアイスだった。



「おいちゃんキイチにもちょうだい。」


僕は、自棄になってキイチに小指を差し出した。



キイチは、チュッチュッと音を立てながら小指を吸った。



巧みにキイチは、指を吸った。



さすが、最近まで赤ちゃんだった事は、あるママのおっぱいを吸った技術が生きているのだろう。



「おいちゃん美味しいけどもっといっぱい出ればいいね。」


さすがのキイチも吸い疲れたらしく僕に苦情を言ってきた。


僕は、思わずそうだねと言いそうになりやめた。



元はと言えばこのキイチの発言に僕が乗ってしまったからこんな事になったのだ。



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